SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を利用している際に、「自己承認欲求が強そうだな……」と感じる人たちを見かけることがありますよね。日本社会だけに限らず、過剰な承認欲求は他人から冷たい目で見られてしまいがちです。
とはいえ、SNSで他者から認められようと必死になっている人たちは、どのような心理状態なのでしょうか?
この記事では、SNSで承認欲求を満たす人たちの4つの特徴を解説しています。SNSと人間の心理について興味のある方たちの参考になれば幸いです。
- SNSで承認欲求を満たす人たちの心理について考えるきっかけになる。
- 承認欲求を満たそうとする人が気持ち悪いと言われる理由について考えるきっかけになる。
- 承認欲求に対して客観的な知見を持てるようになる。
承認欲求とは?
まずは、承認欲求の定義から確認しましょう。京都女子大学の正木大貴さんの『承認欲求についての心理学的考察─現代の若者とSNSとの関連から─』には、承認欲求の意味について次のように記述されています。
承認欲求とは一般に、他人から認められたいという欲求や自分が周囲から一目置かれるような存在でありたいという願望の総称である。
正木大貴(2018)『承認欲求についての心理学的考察─現代の若者とSNSとの関連から─』より引用
上記の引用を踏まえると、インスタやTwitterなどのSNSで、他人からの「いいね」を大量に欲しがったり、フォロワーを獲得したことを過剰に自慢にしたりする人は承認欲求を持っていると言えるかもしれません。
SNSで承認欲求を満たす人たちの4つの特徴
とはいえ、実際のところ、SNSで承認欲求を満たそうとしている人たちは、どのような心理状態なのでしょうか?
これに関しては大きく4つの特徴があると考えられます。
SNSで承認欲求を満たす人たちの4つの心理的特徴
- 特徴1 強いコンプレックスを持っている。
- 特徴2 見栄っぱりな傾向がある。
- 特徴3 いいねやフォロワーの数にこだわる。
- 特徴4 人との繋がりが稀薄で寂しい。
ここでは、それぞれの性質について説明してきます。
特徴1 強いコンプレックスを持っている
第1の特徴として、SNSで承認欲求を満たそうとしている人たちは、強いコンプレックスを持っている可能性があります。
簡単に言えば、コンプレックスとは「劣等感」です。他人と比べて、「自分は劣っている」と思う人たちのなかには、だれかに認められた経験が乏しいからこそ「承認されたい」という欲求を持つ方もいるでしょう。
その結果、SNSで「自分が特別な存在である」と誇示するような投稿をしてしまうわけです。
もちろん、コンプレックスをバネに努力して偉大な仕事を成し遂げる人たちもいるので、「劣等感=悪」と単純に考えることはできません。
ただ、劣等感の背景に他人に対する怨恨がある場合は、「なぜ、私がこんな惨めな生き方をしなければいけないのか」という気持ちに支配されて、承認してくれない人間を排除する人たちもいるので気をつけてください。
特徴2 見栄っぱりな傾向がある
第2の特徴として、SNSで他者から認められたがっている人たちは、見栄っぱりな気質を持っていると推察されます。
とりわけ、実名が公開されているFacebookやインスタグラムなどのSNSでは、人生のキラキラした部分を写真にした投稿を見かけることがあります。しかし、事実と異なる場合も少なくないようです。
例えば、ホーム・パーティーを開いたかのような写真を投稿したり、彼氏とデートしていると思わせるような画像をアップしたりするなど、自分で演出している人たちもいます。冷静に考えると、見栄の本質は「ありのままの自分に自信がない」ことにあるはずです。
自分が「ちぽっけな存在である」と思われたくないという感情から小さな嘘をつき続けると、そのうちに虚しさがこみ上げて自暴自棄になってしまうおそれがあるので注意しましょう。
特徴3 いいねやフォロワー数にこだわる
第3の特徴として、いいねやフォロワー数にこだわる傾向があることが挙げられます。
SNSでは、投稿に対する「いいね」の数やアカウントのフォロワー数が自分に対する他人の評価であると考える人たちがいます。すなわち、「いいね」が多いほど、自分の投稿は共感されていて、フォロワー数が多いほど、自分の存在は認められていると判断するわけです。
けれども、相手との信頼関係がなければ、その場かぎりの中身のない数字に情報の発信力があるのかは疑わしいと言わざるを得ないでしょう。近年では、フォロワーをお金で買う「水増しインフルエンサー」と呼ばれる人たちも誕生しています。SNSの虚像に騙されないように、投稿の質を見極めていく必要があると思います。

特徴4 人との繋がりが稀薄で寂しい
第4の特徴として、SNSで他人からの賞賛を得ようとしている人たちは、人との繋がりが稀薄で寂しい状態にあると考えられます。
この世に完璧な人間は一人として存在しません。だからこそ、自分の弱さを含めて分かってくれる理解者が一人でもいれば、不特定多数の個人に認められなくても、安心して日常を過ごせるはずです。
その安心をもたらす存在をSNSに求めてしまうのは、ありのままの姿を分かってくれる友人や家族に恵まれず、淋しい想いをしているからなのかもしれません。
見ず知らずの100万人に認められるよりも、自分が大切に想う一人に味方になってほしい。だれもがそうした願いを持っているのではないでしょうか。
気持ち悪いと思うのはなぜ?
とはいえ、SNSで承認欲求を剥き出しにする人たちに対して「気持ち悪い」と感じる人たちもいるようです。
一体、なぜなのでしょうか?
その理由のひとつとして考えられるのは、他人の気持ちを無視して自己満足の投稿を行うことに対する嫌悪感があるようです。
その背景には、「相手が満足を得るために自分が利用されるのは嫌だ」という感情があるのかもしれまん。だれしもが自己本位な性質を持っているとはいえ、自分が他人の手段となることを喜ぶ人は稀です。SNSが人間関係から成り立つサービスである以上、相手の気持ちを尊重するコミュニケーションが求められるでしょう。
SNSと承認欲求に関する論文まとめ
なお、SNSと承認欲求に関する論文を読みたい方は、こちらのリストを参考にしてみてください。
「承認欲求=悪」ではない
人間であれば、だれしもが少なからず「他人に認められたい」という感情を持っているはずです。例えば、こどもがテストで100点を取ったら、お母さんに褒めてもらいたいと望むのは自然なことだと思います。
その意味では、「承認欲求=悪」と単純に決めつけることはできません。あくまでも、過剰な承認欲求が「自分を認めさせる」手段として他人を利用するから、ネガティブな印象を生んでいるのだと思います。
そのため、「人に認めてもらいたい」という気持ちに支配される前に、「自分が他人にしてあげられること」を見つけていくことが信頼を勝ち取っていくための道筋になるのではないしょうか。なお、SNSについて知りたい方はこちらの記事もご覧ください。


