検索エンジンのアップデートは悪質なSEO対策との闘争史といっても過言ではありません。ワードサラダもまた数ある事例のひとつといってよいでしょう。
Googleがコンテンツの自動生成に対する方針をガイドラインで明確化したことで、現在ではワードサラダを悪用したSEO対策は目立たなくなりました。
しかしながら、コンテンツの自動生成に関する議論が終わったわけではありません。今後、AIによる文書作成の技術が進展すれば、SEOのあり方が根本的に変化する可能性があります。
この記事では、ワードサラダについて解説したうえで、コンテンツSEOに大きな影響を与えるかもしれないAIの自動文書作成について考察しています。SEOに興味を持つ方の参考になれば幸いです。
- ワードサラダについて知りたい人
- コンテンツSEOの未来について考えたい人
ワードサラダとは?
ワードサラダとは、言葉が無秩序に並べられた意味のない文章のことです。

本来的には、統合失調症などの患者が書いた一貫性のない作文を指す用語として使われていますが、コンテンツSEO対策の分野でも、自動文書生成ツールによって作成された意味不明な文章をワードサラダと呼んでいます。
なぜ、ワードサラダが広がったのか?
ワードサラダがネット社会に横行していたのは、企業や個人が自動文書生成ツールを使って悪質なSEO対策を行っていたからだといわれています。
具体的には、自動文書生成ツールで特定のキーワードを盛り込んだワードサラダを大量に作って、ウェブサイトの評価を高めようとしました。
その結果、一時的ではありますが、ウェブページが上位表示されるといった現象が起こりました。
また、被リンクが検索エンジンのランキングに強い影響を与えていた時代には、ワードサラダを利用してサテライトサイトを作るといったことも盛んに行われていたのです。
当時、検索エンジンのクローラーは、人間が文書を理解するようにコンテンツを読み込めなかったので、その脆弱性を突いた悪質なSEO対策が広がってしまいました。
そのため、インターネットにはユーザーの利益を無視した低品質のウェブサイトが山のように生み出されたのです。
検索エンジンを欺いても持続性はない
Googleなどの検索エンジンを提供する企業からすれば、ワードサラダで作られたウェブサイトはサービスの品質を下げる不純物です。
ユーザーが満足しない検索システムは利用されなくなるので、広告ビジネスなどが成り立たなくなってしまいます。
そこで、Googleはコンテンツの自動生成について一定の措置を行うことを発表しました。
『ウェブマスター向けガイドライン(品質に関するガイドライン)』には、コンテンツの自動生成について、次のようなポリシーが記述されています。
Google では、検索ランキングを操作することを目的としている、ユーザーの役に立たないコンテンツに対し、措置を取ることがあります。たとえば、次のようなものがこれに該当します。
検索キーワードを含んでいるが、文書としては意味をなさないテキスト
自動化されたツールで翻訳されたテキストが人間によるチェックや編集を経ず公開されたもの
マルコフ連鎖などの自動処理によって生成されたテキスト
自動化された類義語生成や難読化の手法を使用して生成されたテキスト
Atom/RSS フィードや検索結果からの無断複製によって生成されたテキスト
複数のウェブページからのコンテンツを、十分な付加価値を加えることなくつなぎ合わせたり組み合わせたりしたもの
『ウェブマスター向けガイドライン(品質に関するガイドライン)』から引用(最終確認日:2020/4/21)
上記の引用にうち、「検索キーワードを含んでいるが、文書としては意味をなさないテキスト」がワードサラダに該当します。
この方針が示されたことで、ワードサラダはSEOに悪影響があるという認識が一般化して、良質なコンテンツやウェブサイトが重視される時代になりました。
以上のことから考えても、検索エンジンを欺こうとする仕組みはアップデートによって淘汰されるので、持続性はないといえるでしょう。
AIが高品質の文章を作成する時代がくる!?
ワードサラダとは比べものにならないレベルで、コンテンツSEOに影響を与える可能性のある新しいテクノロジーがあります。
それはAIを使った文章の自動文書作成ツールです。知っている方もいるかもしれませんが、AIの文書作成能力は急速なスピードで進化し続けています。
グローバルメディアのフォーブスに掲載された『AI記者はジャーナリズムをどう変える、米メディア界の現状』によれば、すでに大手報道機関では記事作成にAIを導入しているといいます。
「気まぐれ人工知能プロジェクト作家ですのよ」公式HPより引用(最終確認日:2020/4/21)
また、「気まぐれ人工知能プロジェクト作家ですのよ」が開発したAIによって執筆された『コンピューターが小説を書く日』は、人間が書いた作品と紹介されれば、ほとんどの人が疑わないレベルだと思います。
今後、インターネットにある膨大な情報から、ユーザーのニーズに合わせて、自動で文章を生成する技術が誕生すれば、コンテンツSEOのあり方は変化せざるを得ません。
おそらく、文章を書くこと以上にトピックから新しい価値を見出すオリジナリティが重視されるようになるでしょう。
また、AIが作成した良質なコンテンツを管理するWEBディレクションの需要が高まるかもしれません。
AIによる技術革新をいたずらに恐れることはないにせよ、コンテンツの自動生成は従来とは異なる次元で成長し始めています。
もし、AIを使った文書作成ツールがサブスクリプション型のサービスとして提供されたとしたら、コンテンツSEOに特化した記事作成代行サービスは、どこまで持続可能な事業となり得るのでしょうか。
人間ならではの価値を考える
ワードサラダは悪質なコンテンツとして取り締まられていますが、今後、AIによって執筆された高品質な記事はペナリティの対象になるのでしょうか?
あくまでも推測にすぎませんが、ユーザーに利益をもたらす限り、Googleなどの検索エンジンがAIのコンテンツを除外する特別な理由は見当たりません。
だからこそ、AIでは実現できない人間ならではの価値を情報に与えていく必要があると思います。情報コンテンツのあり方が大きく問われる時代が少しずつ始まっているのかもしれません。