TikTok(ティックトック)の動画を見ていると、「美男美女ばかりですごい!」と驚いたことのある人たちもいると思います。 日本国内に一般人でもイケメンや美女がたくさんいるのは喜ばしい限りです。しかしながら、実際のところは、TikTokの加工技術によって全くの別人になっている人たちも少なくありません。
むしろ、ビフォーアフターを比較すると、「ちょっとやりすぎだよね?」と思わず苦笑してしまうようなユーザーも存在します。もちろん、動画コンテンツの編集方法に関しては、それぞれのクリエイターが自分に責任を持っている限り、他人が口を出す話ではないのかもしれません。
ただし、インフルエンサーの実物がイメージと違うことによってショックを受ける可能性がある以上、加工技術のリアルを知って損はありません。この記事では、TikTokで加工の怖さを感じる理由を説明したうえで、ビフォーアフターがやばすぎることをサンプルの画像を使って検証していきます。
TikTokに興味にある人たちは参考にしてみてください。
- TikTokで使用する加工技術の怖さについて考えるきっかけになる。
- デジタルの世界に対する見識が深まる。
TikTokで加工しすぎの怖さを感じる理由
それでは、TikTokで加工しすぎの怖さを感じる理由について考察していきます。冷静に考えると、TikTok以外のSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)でも本人の写真を加工する編集は頻繁に行われています。
元来、日本国内ではプリクラという若者文化が定着していることから、実物よりも美男美女に修正するのは今に始まったことではありません。化粧も濃い人であれば、スッピンとは全く違うこともあるはずです。とはいえ、TikTokの動画を見ていると、現代の加工技術は恐ろしいと感じてしまう人たちも少なからずいるはずです。
その理由は大きく3つあると言えます。
TikTokで加工しすぎの怖さを感じる理由
- 理由1 ユーザーを騙して儲けようとしている。
- 理由2 実物とは違う別人になる加工技術が横行している。
- 理由3 摂食障害の要因になっている可能性がある。
ここでは、それぞれの要因について説明していきます。
理由1 ユーザーを騙して儲けようとしている
第1に、加工技術で編集した見た目を利用してユーザーを騙して、お金を儲けようとしている人たちがいます。
近年、加工技術は骨格そのものを変えたり、顔のパーツを縮小・拡大したりするなど、だれもが簡単に美男美女になれるレベルにまで進化しています。容姿に自信がなかったとしても、レンズ越しに可愛くなれたり、かっこよくなれたりするのは、一見すると良いことのように思えます。
とはいえ、まるで本物かのように振る舞ってSNS上に支援者を作り、金銭を得ているユーザーもいます。無論、相手も喜んでいるのであれば、それでよいのかもしれません。これはビジネスであると割り切っている人たちも多いでしょう。けれども、なかには、リアルな美しさであると信じている人たちもいるはずです。
騙される人たちが世間知らずと言えば、それまでなのかもしれませんが、男性が女性になりすまして詐欺をはたらくといった可能性は決してゼロではありません。線引きがかなり難しいところではありますが、デジタルの世界で目にしているものが必ずしも本物ではないということを認識し直す必要があるでしょう。
理由2 実物とは違う別人になる加工技術が横行している
第2に、実物とは全く異なる別人になる加工技術が横行しています。繰り返しになりますが、骨格それ自体を変えることができるわけですから、もはやデジタル上で整形を行っていると言っても過言ではありません。
もちろん、日本の若者文化には、20年以上前からプリクラというサービスが存在しています。すなわち、デジタル空間で顔をきれいに編集するのは日常茶飯事であり、今更になって問題にするようなことでもないのかもしれません。
とはいえ、実物の面影すらない別人になることが当たり前になるのは少々、やり過ぎではないでしょうか。実際のところ、SNSで加工しすぎの写真を投稿することに対して嫌悪感を抱く人たちもいます。参考までにいくつかのツイートを引用しておきます。
また、近年では人工知能技術の画像処理を活用して、この世には全く存在しないけれども居そうな容姿を作成することもできる時代になりました。すなわち、それをまるで自分であるかのようにTikTok上で演出することも不可能ではないわけです。いずれにしても、TikTok以外のリアルな人間関係を意識するのであれば、自分の写真を過度に加工しすぎないほうがよいのではないでしょうか。
理由3 摂食障害の要因になる可能性がある
第3に、加工技術によって容姿のあり方がステレオタイプ化することによって、摂食障害を引き起こす可能性があるかもしれません。実際に、アメリカの議会では、TikTokやインスタなどのSNSが見た目に関するイメージを固定化させることによって生まれる危険性について指摘されているようです。
Instagramやその親会社Meta(旧Facebook)などのソーシャルメディアプラットフォームは有害なコンテンツの巣窟となっており、とりわけ若年ユーザーの不安と抑うつを助長していると何年も前から批判されてきた。こうしたサイトの利用が、否定的なボディイメージや摂食障害につながるとも指摘されている。フィルターや画像編集で加工された、現実的でない理想化されたスタイルを強調する写真が大量にアップされているからだ。ByteDanceが運営するソーシャル動画サイト「TikTok」も、爆発的な人気を博している反面、10代の若者の摂食障害を肯定するような動画が表示されるという批判を受けている。米国時間12月8日には、Instagramの責任者Adam Mosseri氏が、「Instagram」アプリの若年層ユーザーの安全を守る取り組みについて米議会で証言することになっており、この問題はさらに厳しく取り上げられそうだ。
CNET JAPAN 『SNSが摂食障害を拡散–問われるInstagramとTikTokの責任』より引用(最終確認日:2022年2月25日)
たしかに、加工技術によって体系を細くする人はいても、わざわざ太らせるような編集を施すユーザーはいないはずです。また、目を大きくする人はいても、細くする人は少ないですよね。その意味では、容姿に関する画一的なイメージは存在していると言ってよいでしょう。
とはいえ、加工技術が実現する理想的なスタイルは現実的ではないことがほとんどです。それにもかかわらず、その姿を目指そうとすれば、摂食障害を患ってしまうのも無理はないでしょう。いずれにしても、デジタルが演出する極端な容姿に対しては一定の距離感を取る必要があると思います。
ビフォーアフターがやばい
実際のところ、現代の加工技術を使うと、どのくらい見た目が変化するのでしょうか?
TikTokのアプリでふくよかな女性の写真を加工してみると、ビフォーアフターは次のようになります。
やはり、ビフォーアフターではかなり容姿に違いがありますよね。アフターの写真が本物であると信じた人がビフォーの人に会ったとしたら、「え、TikTokのアカウントと全然違う」と驚く可能性は高いと言えるでしょう。もちろん、その良し悪しは人の美的感覚によって異なりますが、加工の前後があまりにも違えば、「やばい」と反応されても仕方がないのかもしれません。
SNSは必ずしもリアルではない
以上のことからも、TikTokをはじめとするSNSでは、ユーザーは必ずしも実物の容姿を公開しているとは限らないので注意してください。むしろ、デジタル特有のフィクションを作成しやすい性質を悪用している人たちもたくさんいるのが現実です。世の中でいうところの美男美女はデバイスを介している以上、加工技術によって作られているかもしれないのです。
とはいえ、容姿をよく見せたいと思うのも人間の偽らざる願望であるような気がします。それゆえ、良し悪しを断ずるのは決して簡単ではありません。ただ、偽物を本物であると勘違いして損をしないように、デジタル技術の性質として理解しておくことが大切なのではないでしょうか。