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SNSで始まるネット恋愛が常識になる日はくるのか?

最近では、TwitterやFacebookなどのSNSやソーシャルゲームの出会いをきっかけに恋愛が始まることも少なくありません。

リクルートブライダル総研が全国の20~49歳の未婚男女2,400人を対象に実施した『恋愛観調査2019』の調査では、「恋愛・結婚相手について、自らが良いと感じられる出会い方」としてSNS・インターネットが全体の約20%に支持されていることが分かっています

少数派ではありますが、5人に1人が良いと感じていることを意外に思われる方もいるかもしれません。

恋愛・結婚相手について、自らが良いと感じられる出会い方」リクルートブライダル総研『恋愛観調査2019』より引用(最終確認日:2020/4/22)

また、新型コロナウィルスの感染拡大による自宅待機をきっかけに「オンライン飲み会」が開催されるなど、デバイスを介して交流する人々が増えています。

デジタル空間で人と出会うハードルが下がっていけば、人々の恋愛観が大きく変わっていくかもしれません。この記事では、SNSで始まるネット恋愛と出会いの価値観について考察しています。

この記事を読んでほしい人
  • SNSで出会った人と恋愛することについて考えたい人
  • SNSで出会った人と恋愛したことある人
  • 若い世代の新しい恋愛や出会いについて知りたい人

だれにも話せないネット恋愛の物語

そもそも、SNSや出会い系アプリから始まるネット恋愛とは一体、何なのでしょうか? ここでは、簡単なエピソードを紹介したいと思います。

10年くらい前の話ですが、深夜に知人から「ちょっと相談したい」と電話がかかってきました。それは、Twitterで出会った人と付き合ったけど、いざ会うとなると怖くなったという悩みごとでした

当時の筆者にとって「SNSで恋人ができる」という話は珍しいことでしたが、ガラケー時代からモバゲーやミクシーで出会った人と付き合う友達もいたので、ネット恋愛に対する偏見はありませんでした。

しかし、その知人は家族や友人に説明しても理解されないと思ったようで、遠い知り合いの筆者に相談することにしたそうです。

2017年に株式会社アムタスが実施したSNSから始まる恋愛に関する調査では、全体1,038人のうち6割以上が「SNS恋愛はナシ」と回答しています。主な理由としては、次の引用に示されるとおりです。

SNS恋愛なしの理由めちゃコミック(めちゃコミ)調査レポート SNSから始まる恋愛はアリ?ナシ?から引用(最終確認日:2020/4/24)

SNS恋愛が受け入れられていない以上、当事者の人たちが他人に相談しづらい状況が生まれているといってよいでしょう

相手との馴れ初めはとてもシンプルでした。ソーシャルゲームの名前でTwitter検索したところ、同じ趣味の相手を見つけてフォローするようになり、次のような段階を踏んで恋人関係になったといいます。

  • 1段階 相手のツイートに返信する
  • 2段階 ダイレクトメールを送り合う
  • 3段階 スカイプやLINEで通話するようになる
  • 4段階 知人から告白
  • 5段階 直接会う

「告白のタイミングが早かったのではないか?」という疑問はさておき、第1段階から第3段階までのコミュニケーションと比べて、第5段階の「直接会う」はハードルが高いように思います。

仕事や学校などの限られた生活圏内の恋愛ならば「すでに会っている」ことのほうが多いので、好きな気持ちを伝えるほうが勇気が要ります

その一方、SNSで始まるネット恋愛は相手と「会う前に知り合う」ので、会うことに対する不安な気持ちが生まれやすいはずです。

そこで、4.5段階として会う前にテレビ電話を繰り返すという解決策を提案しました。画面越しではありますが、お互いの顔を見て話す機会が増えれば、相手をより深く知れて、会うことへの抵抗感も薄れるのではないかと思ったのです。

けれども、知人は彼女の連絡先を削除して関係を断つことになりました。恐ろしいことに、彼女を恨んでいた元カレによってTwitterが炎上させられた結果、現時点で複数の彼氏がいることが判明したのです

デジタル空間の人間関係は端末によって保たれているので、ブロックや着信拒否で簡単に制限できます。知人が彼女の連絡先をブロックすれば、偶然の出来事でもない限り、今後の関わりを持たずに済むわけです

以上のことを踏まえると、ネット恋愛は、どちらかの決断次第で出会いと別れを選択できる究極の自由恋愛なのかもしれません

SNS恋愛ナシの背景には出会いの美学

それにしても、なぜ、SNSのネット恋愛には、複雑な感情が芽生えるのでしょうか。今では状況が変わりつつあると思いますが、ここには、出会いの美学ともいうべき価値観が大きく影響していると思います。

今も昔も、偶然から必然を見出すことに美徳を感じる人たちがいます。

運命の人や白馬の王子様といった言葉があるように、何気ない巡り合わせに「出会うべくして出会った」という物語を見出すロマンチックな世界観は受け入れやすいものです

けれども、それは同時に「出会いのための出会い」に対する嫌悪感や後ろめさを生み出すのではないでしょうか

たしかに、結婚相手を求めて知らない人を値踏みする行為は、「きれいな人と結婚したい」や「イケメンで金持ちがいい」などの欲望を実現する手段として、他人を利用しているように見えるときがあります。

真面目に恋愛している人たちからすれば誤解にすぎませんが、「自然に任せて夢見ることが美しい」と信じる人たちにとって、出会い目的のパートナー探しは受け入れがたいことなのかもしれません。

また、犯罪に巻き込まれるリスクがあることを知りながら、そこに出会いを求めるのは、他人の目からは非常識なものに映る可能性もあります。

しかし、SNSや出会い系のシステムそれ自体に善悪はありません。あくまでも、人びとの使い方によって良し悪しが決まるはずです

それにもかかわらず、「相手のことがよく分からず怖い」といった印象が生まれるのは、正体不明で不特定多数の人と繋がる性質に加えて、美人局や誘拐などの事件から生まれたネガティブイメージがあるからだと思います。

以上のことからも、SNSのネット恋愛から想像される物語は、多くの人たちが信じる出会いの美学に反することから理解を得ることができず、当事者たちのなかで複雑な感情が生まれてしまうのではないでしょうか。

実際、SNSをきっかけにゴールインした人たちの中には、自分たちの馴れ初めを紹介するとき、「共通の趣味」を通じて出会ったと上手に説明することもあるようです……。

ポスト・コロナで恋愛の常識が変わる?

とはいえ、新型コロナウィルスの感染拡大に伴って重視されはじめたデジタル空間のコミュニケーションは、SNS恋愛につきまとうネガティブな価値観を払拭させるかもしれません

だれもが会ったことのない人とデバイスを通じて交流することが当たり前になれば、ネットとリアルの差は曖昧になります。

さらに、ビデオ通話が頻繁に利用されるようになったことで顔の見える関係が作られやすくなったので、以前よりもネットで初対面の人と交流するハードルは下がり始めている気がしています。

あとは、「相手が信頼できる人間なのか?」という問題さえが解決できれば、SNSや出会い系のようなツールをきっかけに始まった恋愛も一般化されるのではないでしょうか。

さまざまなリスクがある以上、一概にはいえませんが、当事者の人たちがだれにも相談できなかったり、馴れ初めを話せなかったりするのは、何だか切ない気がします。

ネット社会の良い側面に光を当てれば、身の回りの限られた人間関係からパートナーを見つけるよりも、ネット社会から相性の良い相手を見つけたほうが幸せなことかもしれないのです。

それにリアルで全く接点のなかった2人が新しいテクノロジーのおかげで出会ったというのも、何だかロマンチックなことのように思います……。

出会った人を大切にすればいい

出会いの本質は人にあるはずです。すなわち、「どのように出会ったのか?」ではなく、「だれと出会ったのか」が大切なのではないでしょうか。

たとえ、出会いのきっかけが他人から理解されなかったとしても、好きな人に出会えたのは素敵なことです。

それに世の中の常識はふっとした瞬間に変わっていくものです。それに縛られて、恋人との未来を閉ざすことは悲しいことのように思います。

もちろん、結婚はパートナー同士の関係を超えた社会性を持っていることも事実かもしれません。でも、だれかの評価に振り回されて自分の気持ちを飲み込んだとしても、幸せになれるとは限らないのです。

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PENDELION編集部
PENDELION編集部はライター・構成担当・編集担当・グロースハッカーから成り立っています。専属のライターさんが執筆した記事に関しては、希望がある場合にのみプロフィールを掲載します。
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