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ネットいじめとは?現状と対策について解説|SNS時代の社会問題

スマートフォンの普及に伴って、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)が当たり前の時代になりました。現代では、インターネットさえあれば、世界中の人たちとつながってコミュニケーションを取ることができます。

その一方で、ネットいじめが社会問題になっています。例えば、学校のクラスで一人だけLINEグループに招待しなかったり、Twitterで悪口をいったりなど陰湿ないじめが広がっているのです。

特に、ひどいものとしては裸体の画像をSNSで拡散するといった嘆かわしい事件も起きています。この記事では、ネットのいじめ問題を説明したうえで、被害者を出さないために必要な対策について考察しています。SNS時代の社会問題やネットいじめの対応を知りたい方のお役に立てば幸いです。

この記事を読んで得られること
  • ネットいじめの現状について知ることができる
  • SNSを使ったいじめの実状について理解できる
  • ネットいじめの対処方法について考える材料を得られる

ネットいじめとは?

文部科学省は「いじめ」を次のように定義しています。

「いじめ」とは、「児童生徒に対して、当該児童生徒が在籍する学校に在籍している等当該児童生徒と一定の人的関係のある他の児童生徒が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものも含む。)であって、当該行為の対象となった児童生徒が心身の苦痛を感じているもの。」とする。

文部科学省『いじめの定義の変遷』から引用(最終確認日:2020/5/4)

この定義を踏まえると、ネットいじめとは、インターネットを悪用して、だれかに心身の苦痛を感じさせるものだといえます。

2018年度の認知件数は過去最多

ネットいじめの件数は2014年以降、増え続けています。文部科学省の『児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について』では、2018年度の認知件数は過去最多の16,334件と報告されています。

ネットいじめの認知件数(推移)

そのなかで、SNSを使ったいじめには次のようなものがあります。

  • LINEグループで特定の人を仲間はずれにする「LINE外し」
  • Twitter上に特定個人の誹謗中傷や嫌がらせ画像を投稿する
  • YoutubeやTiktokの投稿動画のネタとして暴力を振るう

ネットいじめが増え続ける背景として、スマートフォンが小中学生、高校生に普及していることが挙げられます。

総務省が公開する『数字で見たスマホの爆発的普及(5年間の量的拡大』によれば、2011年以降、スマホの利用者が80才以上を除いた全世代で上昇していることが分かります

スマートフォン普及率総務省『数字で見たスマホの爆発的普及(5年間の量的拡大)』より引用(最終確認日:2020/5/7)

今や、SNSは未成年の間でも当たり前のように使われているのです。

従来のいじめと何が違う?

FNNの『高2女子は“ネットいじめ”が原因で自殺か? 陰湿化するネットいじめの特徴と対策は』には、ネットいじめに関する3つの特徴が挙げられています。

  1. 気づかない場所で進行している
  2. 相手が特定しづらい
  3. 証拠を残さない

インターネットはデバイスを介してアクセスする仮想空間です。そこでは無限に電子的なスペースを作り出すことができます。そのため、人の目が届かない場所でネットいじめが行われるのです。

また、インターネットは物理的な距離に関係なく、相手と関わることができるので学校や仕事から帰っても、いじめが継続する危険性があります

その意味では、SNSのいじめは、被害者が逃げる場がなくて追い詰められやすいといえるかもしれません

ネットいじめを防止する方法は?

それでは、ネットいじめを防止するためには、どのような方法があるのでしょうか? ここでは、効果があると期待される3つの対策について紹介します。

対策1 ロールプレイングを実行する

ここでいう「ロールプレイング」とは、役割を演じることを通じて、それぞれの立場を学習することです。

これに関しては、中野由章さんと米田貴さんが執筆した『「LINE外し」ロールプレイングによる情報社会に参画する態度の育成』がとても参考になります。

中野さんたちの論文では「ロールプレイング」の具体的な実践方法として、以下の順序が示されています。

  1. 学級内でいくつかのグループを構成する
  2. LINEでのやり取りを模倣して架空のシナリオでロールプレイを行う
  3. その内容について各班で討議を行う
  4. 各班の討議内容を発表する
  5. 教員が総括する

この論文では、被害にあった人が役割を演じることでフラッシュバックする可能性を考慮しているので、一部の人たちがロールプレイングする様子を鑑賞するという方法論が採用されています。

第三者として「いじめる側」と「いじめられる側」を観察することで、それぞれの立場やいじめそれ自体を客観的に見ることができます

また、「いじめが良くない」という価値観を語られる機会を頻繁につくることで、いじめる側が自分の行動を顧みるきっかけを生み出せるかもしれません

大人は理由を探そうとしますが、いじめのなかには「何となく行われるもの」もあるので、自分の行動を考えさせる環境をつくることも重要だと思います。

なお、中野由章さんと米田貴さんのロールプレイングから生徒たちが学んだことは、「(SNSが)便利な反面、危険性がある」や「相手の気持ちを考えて利用・行動する」といった項目が上位にきています。

ロールプレイングから学んだこと グラフ中野由章・米田貴(2013)『「LINE外し」ロールプレイングによる情報社会に参画する態度の育成』より引用

こうした取り組みを積み重ねることで、ネットいじめが減っていくかもしれません。詳しくは、中野由章さんと米田貴さんの論文をご覧ください。

対策2 デジタル社会のリスクを教える

アナログと違って、デジタルのいじめはインターネットに記録されます

そのため、いじめた側は人を傷つけた行為に縛られるリスクがあるのです。「あの時は悪かった」と反省していたとしても、第三者に人をいじめた過去を知られると、「他人をいじめるような人間」として評価されることになります。

そして、いじめられた側も心に残る傷だけでは済みません。万が一、ネットに投稿された情報が消せなかった場合、いじめた側が想像している以上に長い期間にわたって相手を苦しめることになるのです。

時間が経過したからといって消えることのない。ネットいじめは悪いことであると同時に「危険なことだ」と学校や家庭で教える必要性があります

対策3 考え直す機会を生み出す

みなさんは、トリーシャ・プラブさんの「書き込む前にもう一度」というスピーチ動画を見たことはありますか? 

トリーシャさんは、自分の友達がネットいじめで自殺したことをきっかけに、「どうすればネットいじめを解決できるのか?」について熟考しました。

彼女が立てた仮説は、10代の子どもたちは、考えることなくSNSに攻撃的なメッセージを書き込んでいるというものでした。

そこで、彼女は、SNSの利用者が誹謗中傷を投稿する際に「待って!あなたは誰かに対する誹謗中傷を書き込もうとしています」という警告のメッセージを表示するソフトウェア「ReThink」を開発しました。すなわち、考え直す機会を作ることがネットいじめを防ぐ対策だと考えたわけです。

1500人の実証データを精査した結果、「93%」の人たちが自分の行動を考え直しました。そして、悪口を投稿する人たちを71.4%から4.6%まで減らすことができたのです。

トリーシャさんは、ネットいじめを未然に防ぐためには「考え直す機会」をつくることが有効であることを示しました。願わくば、すべてのプラットフォームに「ReThink」のような仕組みが設けられると良いと思います。

例えば、ネットいじめを防止する手段として、ペアレンタルコントロールの活用が挙げられることがありますが、あまり良い方法ではないと思います

ペアレンタルコントロールとは、親が子どものパソコンや携帯電話などのデバイスの利用状況を監視して制限する仕組みのことです。これはスマートフォンの利用それ自体を制限することで「ネットいじめ」の手段を断つといった強制的な方法です

しかし、家庭のルールは千差万別であり、子どもからすれば「みんなは自由にスマートフォンを使っているのに、私だけどうしてだめなの……」と不満に思うだけで、いじめやイタズラに関するリテラシーが高まるわけではありません

「いじめはなくならない」は諦めでは?

「いじめはなくならない」という意見を耳にすることがありますが、決してそうではないと思います。たしかに、子どもだけではなく、大人の世界にも陰湿ないじめがあります。

しかし、それはあくまでも「いじめる人」の軽率な行動が原因であり、それが解決すればなくせるはずです。実際に、トリーシャさんはネット上の誹謗中傷を減少させることに成功しています。

「いじめられる方も悪い」や「いじめはなくならない」という言葉の奥には「仕方がない」という諦めの気持ちがあるのではないでしょうか。もちろん、現場にいる教育者からすれば「簡単にいうなよ」と思われるかもしれません。

でも、もし、自分の好きな人が同じ目にあっていたら、自分の子どもがいじめられて泣いていたら、自分が相手の立場にいたら、あなたは本当に諦めきれますか?

だれだって、いじめが良いなんて思っているわけありません。難しい問題だからこそ、みんなで協力して知恵を共有しながら、「いじめ」それ自体と戦う文化をつくっていくことが大切なのではないでしょうか。

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PENDELION編集部
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