サイト売買

サイト売買で失敗しないために注意すべき10のこと【買収編】

近年、注目されているサイト売買。ポートフォリオの一つにと思って購入してみたけど、全く収益が上がらずに大損したという話もあります。

広告収入や会費などで利益を生んでいたとしても、それが継続するとは限りません。

むしろ、有益なコンテンツを提供せずに、手放しで管理すれば資産形成の手段として機能しなくなるおそれがあります。

また、検索エンジンの上位表示を決定する評価基準は定期的に最適化されるので、コンテンツの順位が悪化して収益が下がることにも注意が必要です。

この企画では、サイト売買で失敗しないために気をつけるべきことを買い手と売り手を合わせて20項目ピックアップしています。

今回は買収編なので、ウェブサイトの購入を検討されている方は必見です!

サイト売買で失敗しないために注意すべきこと

サイト売買とは、企業や個人が所有するウェブサイト、またはウェブサイトのコンテンツを売却・買収することをいいます。別名で「サイトM&A」とも呼ばれています。

近年、ウェブサイトは資産の一つとして考えられており、銀行から融資を受ける際の担保としても利用されています。

商品を販売するECサイトやキュレーションメディアなど種類は豊富ですが、実際に収益を生み出しているので経済的価値があるのです。

ただ、会社や事業のM&Aと同様に、サイト売買を成功させるには、いくつかの注意すべき点があります。不動産のオーナーチェンジのような感覚で投資すれば、思わぬ損害を被ることにもなりかねないので気を付けましょう!

注意1 複数の経路から収益を得ているのか?

サイト買収を検討している方は、収益の内訳を確認しましょう。

例えば、次のようなウェブサイトが売られていたとします。

サイト売買の具体例です。

簡単に考えると、希望価格は営業利益の約11倍の値段ですから、購入後1年で投資金額を回収できることになります。

しかし、現実はそう単純ではありません。

月間売上が一社のアフィリエイト案件から構成されている場合、会社のアフィリエイトが終了すれば0円になります。

これは十分にあり得る話です。予算変更やアフィリエイトからの成約が良くなければ、経営判断としてアフィリエイト広告を停止する可能性はあります。

したがって、数字だけで評価するのではなく、営業利益が複数の企業から成り立っているのか、すなわち「収益構造が多角化されているのか、あるいは多角化できるのか」が重要なポイントになります。

注意2 過去直近3カ月の営業利益はいくらなのか?

商売では数字を都合よく”見せる(魅せる)”ことが日常茶飯事です。 嘘ではないけど、誤解を与えるような表現が多用されています。

サイト売買の具体例です。

例えば、営業利益45,000円という数字だけみると、毎月45,000円の売り上げがあるかのうように見えますが実態は違います

営業利益は過去一年間の平均金額を記載していることが多いので、次のようなケースには気を付けないといけません。

上記の数字は平均すると「45,000円」となります。

過去の直近3カ月の数値だけみれば、表記されている営業利益の50%未満です。

もし、これが季節的な傾向ではなく、Googleのアップデートやアフィリエイト終了などによる構造的な変化だった場合、購入時からの収益は予想を下回る結果となります。

営業利益の変化をします画像です。

平均化は物事を整理するとき役立つ手法です。しかし、各項目の詳細を無視することにもなりかねません

そのため、月別の営業利益を確認して収益の継続性を評価することが重要になります。

注意3 提示された数値は本当なのか?

通常、大手の仲介業者を利用する場合は、掲載情報の信頼性は担保されていると考えられます。

しかし、第三者を介さないのであれば、サイトの月間収益、PV数などの情報が正確な数値なのかを必ず確認しておきましょう。

具体的には、それぞれの数値の裏付けとなるGoogleサーチコンソール、アナリティクス、または収益管理のプラットフォームなど画像データを共有してもらうことが考えられます。

また、数値に虚偽があった場合、取引を撤回したうえで、損害賠償を請求する旨を記した契約を結ぶことも検討すべきでしょう。

サイト買収は案件によっては数千万以上の高額な投資になるため、いざという時のためのリスク・マネジメントについて専門家に相談することをおすすめします。

注意4 月間コストに全経費が反映されているのか?

「ウェブサイトの運営費用はいくらか?」といった情報は、予算を考える上で必要不可欠です。

具体的には、月間コストの内訳を確認する必要があります。

サイト売買の具体例です。

上記の例でいえば、月間コストは「5,000円」です。

この中に確実に含まれる経費としては、ドメインやサーバーの基本料金が挙げられます。

しかし、これらはあくまでもウェブサイトを運営する最低限度の費用です。

実際には、コンテンツ作成に伴う人件費、月額制のSEOサービスなどの費用が発生している可能性があります。

月間コストの詳細を適切に把握しておかなければ、買収後に想定外の出費が生じるおそれがありますので、すべての経費が反映されているのかを必ずチェックしましょう。

注意5 サイトのエラーは解消されているのか?

サイトエラーの具体例です。

ウェブサイトの運用する際に、悩みの種となるのが「エラー」です。

例えば、画面がいきなり真っ白になった、サイトのデザインが崩れた、503や403エラーが出るなどが挙げられます。

専門のエンジニアを雇っているなら安心ですが、致命的なエラーに対応できずに、ウェブサイトの機能が停止すれば、ユーザーの離脱などで収益が下がるリスクがあります。

買収前に、エラーの有無を確認しておきましょう。

エラーにはサイト運営に支障のないものもあります

注意6 悪質なコンテンツは混じっていないか?

インターネットが創造空間である以上、多種多様なコンテンツが存在しています。

そのなかには、マーケテイングと称してユーザーを過剰に煽るような記事が作られているケースもあります

また、情報メディアの御法度であるコピー・コンテンツにも注意が必要です。

コピー・コンテンツとは?

他人が作成したウェブサイトの内容と同じもの、あるいは近似するものをいいます。

収益性という観点からサイトを高評価できたとしても、コンテンツがもたらすユーザーや第三者への悪影響を無視すれば、ウェブサイトの価値は低下していくのではないでしょうか?

残念なことに、人を面白おかしく書いたものが上位表示される例も見受けられます。

表現の自由や情報の非対称性がある以上、インターネットの情報を選択する側のリテラシーが問われるのも事実です。

ただ、ユーザーの利益を阻害する、または倫理的に許容しづらいコンテンツを発信するメディアは、企業のブランド、イメージ、信頼を失墜させるおそれがあります。

何をもって悪質とするのか。これは抽象的な議論かもしれません。

それゆえ、企業のポリシーとの整合性から買収対象のウェブサイトが提供しているコンテンツの詳細を評価しておく必要があります。

注意7 取引先の同意を得ているのか?

買収対象となるウェブサイトの運営に取引先や仕入れ先などの第三者が関係している場合は、事前に売却する旨を伝えて、取引を継続する同意を得ておいたほうがよいです。

もし、ウェブサイトのコンテンツが外部の関係者に依存している場合、売買の事実を知らせていなかったことが原因で取引が解消されては元も子もありません

類例としては、企業や事業のM&Aでは、「チェンジ・オブ・コントロール(COC)条項」というものがあり、売買交渉が破談する大きな要因の一つとなっています。

チェンジオブコントロール(Change of Control:COC)条項とは、M&Aなどを理由として契約の一方当事者に支配権(Control)の変更(Change)、つまり経営権の移動が生じた場合、契約内容に何らかの制限がかかったり、他方の当事者によって契約を解除することができたりする規定である。資本拘束条項ともいう。

YMG経営ナレッジ https://www.ycg-advisory.jp/knowledge/glossary/change-of-control-clause/ (最終確認日:2020/2/10)から引用

注意8 競業避止義務は徹底されているか?

M&A分野の「競業避止義務」とは、買い手の損失を防止するために、売り手が同じ業界でビジネスを行うことを禁止することをいいます。

買収後、売り手がノウハウや人脈を使って同じジャンルでウェブサイトを開設すれば、買い手に不利益をもたらします

これを防ぐために、最終の契約書のなかで競合避止義務条項を売り手に課すことが通例となっています。

なお、会社法第21条では「譲渡会社の競業の禁止」として次の内容が定められています。

詳細は会社法を専門とする士業の方にご相談ください。

(譲渡会社の競業の禁止)

第二十一条 事業を譲渡した会社(以下この章において「譲渡会社」という。)は、当事者の別段の意思表示がない限り、同一の市町村(特別区を含むものとし、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市にあっては、区又は総合区。以下この項において同じ。)の区域内及びこれに隣接する市町村の区域内においては、その事業を譲渡した日から二十年間は、同一の事業を行ってはならない。

2 譲渡会社が同一の事業を行わない旨の特約をした場合には、その特約は、その事業を譲渡した日から三十年の期間内に限り、その効力を有する。

3 前二項の規定にかかわらず、譲渡会社は、不正の競争の目的をもって同一の事業を行ってはならない。

電子政府の総合窓口e-Gov https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=417AC0000000086#113(最終確認日:2020/2/9)から引用

注意9 なぜ、売り手はサイトを手放すのか?

営業利益やアクセス数が多いウェブサイトを構築するのは至難の業です。

多くの場合、コンテンツ・マーケテイングに関する行動計画を定めずに、運用の段階で行き詰まってしまいます

Googleのアップデートで検索順位がいつ、どこで、どうなるか分からないといった状況のなかで、自社サイトの品質を保つためは、それなりの資金・時間・人的資源が必要になります

このような苦労を経て構築されたウェブサイトをなぜ、売るのか。

それには相応の理由があるはずです。

営業利益が構造的な変化で減っているのではないか。

新規事業の設立にあたって事業の最適化を図るためなのか。

いずれにしても、買い手は、売り手の真意を見抜かなければなりません

注意10 買収後に提供するコンテンツは?

いくら良い案件を買収できたとしても、良質なコンテンツを提供し続けなければ、ユーザーはより良いコンテンツを求めて離れていく可能性があります。

競合サイトは次々と新しいサービスを生み出しているので、買収時の営業利益が何もせずに維持されるとは限りません。

ユーザーは検索エンジン、ブックマーク、アプリケーション、SNSなどを通じて複数のウェブサイトを数秒単位で行き来しているので、アクセスの分布は日々、変化していきます。

そのため、買収を検討する際には、ユーザーのニーズを適切に分析してコンテンツを作り続けることを前提とした計画を入念に立てる必要があります

なお、検索エンジンからのマーケティングを考えている方は、下記の記事を参照してください。

検索クエリのアイキャッチ画像です。
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サイト売買は計画的に!

サイト売買は不動産投資のように安定型の投資ではありません。

インターネットの世界は日々、変化します。

だからこそ、ウェブサイトを買収する際には、長期的な視点からリスクを評価して、「費用対効果」を最大化させることが重要です。

PENDELIONでは、ユーザーにとって有益なコンテンツを生み出し続けることがすべてだと思っています。

次回は、サイト売買で失敗しないために注意すべきことの売却編を投稿します!

参考資料一覧

・電子政府の総合窓口e-Gov https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=417AC0000000086#113(最終確認日:2020/2/9)

・YMG経営ナレッジ https://www.ycg-advisory.jp/knowledge/glossary/change-of-control-clause/ (最終確認日:2020/2/10)

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