格言のルネサンス

ネルソン・マンデラの名言・格言|挫折と栄光のジレンマを越えて

格言のルネサンス コンセプト

格言のルネサンスvol.001は外資系コンサルティング・ファームで活躍する濱崎聖さんの人生に刻まれるネルソン・マンデラさんの格言を通して「挫折と栄光のジレンマを乗り越える」ことについてインタビューしました。

挑戦者であれば、だれしもが葛藤する理想と現実のギャップ。そのなかで、ネルソン・マンデラさんの言葉がどのように濱崎さんの心を奮い立たせてきたのでしょうか。その軌跡をたどりました。

【濱崎聖(はまさき・さとし)さんのプロフィール】 

大手ITコンサルティング・ファームにて基幹システムに関する設計・導入等の大規模プロジェクトを経験後、2015年より現在の外資系コンサルティング・ファームに参画。主に、国内外の生命保険会社における中期経営計画策定/コスト構造改革/業務改善(BPO含む)/PMOといった上流から下流までのプロジェクト経験を有する。近年は「経営課題を真に解決するためには人と組織の問題を解決するべきだ」という問題意識から人事コンサルティング部門へ異動。障がい者雇用に配慮した特例子会社の設立、M&A人事制度分析、サクセッションプラン設計、報酬制度の設計といった案件を担当。大学在学中に経験したカナダ・バンクーバー留学とその後の就活体験を記した書籍の著者でもある。

学生時代に出会ったネルソン・マンデラの格言

ネルソン・マンデラさんの格言
ネルソン・マンデラさんの格言
森本恭平

濱崎さんの心に刻まれる格言は何ですか?

濱崎聖さん

僕が今もなお、大切にしている格言は、南アフリカの元大統領・ネルソン・マンデラさんの「人生で最も偉大な栄光とは、倒れたことがないことを指すのではない。その度に何度でも立ち上がることだ」という言葉です。

濱崎さん:高校時代、ふと手に取った書籍で紹介されていたマンデラさんの言葉が不思議と胸から離れませんでした。

森本:数ある格言のなかでも、なぜ、ネルソン・マンデラさんの言葉が刺さったのか。そこには、何か理由があるのかもしれませんね。当時、濱崎さんはどのような学生生活を送っていたのでしょうか?

濱崎さん:振り返ってみると、高校時代はガラス窓がくもったように鬱々としていたように思います。何をやってもうまくいかないというか……。現状に満足できず、道草を食っているような自分に腹が立っていましたね(笑)

森本:意外ですね(笑)挫折とは無縁なキャリアを歩んできたように見えましたが……。

濱崎さん:違いますよ(笑)外資系コンサルティング・ファームで働いていると聞けば、成功ばかりの華々しい人生を歩んできたように思われる方もいるかもしれません。

ただ、僕の場合はまったくの逆です。転んで起き上がったと思ったら、また転ぶ(笑)ある意味では、「挫折と栄光のジレンマ」のなかで葛藤し続けてきた人生ともいえますね。

森本:そうだったのですね……。挫折と栄光のジレンマについて、もう少し具体的なエピソードを伺ってもよろしいですか? 

濱崎さん:はい。小中学校のときは、自分が全力を出せば、勉強やスポーツなど何でも結果がついてきました。「やればできる!」という自信があったからこそ、毎日に張り合いがありました。

しかし、都内でも有数の進学校に入った途端、そこには圧倒的にレベルの高い友人たちがいました。一生懸命、練習したバスケ部は万年補欠。部活動や学生寮の運営に明け暮れて勉強も疎かになったので、大学受験も失敗しました。

『あの日の栄光はどこに行ってしまったのだろう』とため息を吐くことも多かったと思います。

森本:高い次元を目指してたどり着いた場所で、より広い世界を知ったわけですね。何事にもいえるかもしれませんが、本気で挑むからこそ、本気で傷つきますよね……。

濱崎さん:そうですね。ぶっちゃければ、結構くらっていましたね(笑)

『自分の努力はこんなものだったのか!』と思うと、元気よく膨らんでいた風船がしぼんでいくような気持ちになりました。別に、だれかが羨ましかったわけではありません。とにかく、自分の不甲斐なさが悔しかった。

森本:わかる気がします。「今、ここにいる自分」と「いつか、たどり着きたい自分」が喧嘩する。これは挑戦者であれば、だれしもが直面する葛藤だといえるのではないでしょうか。理想と現実のギャップ。未来に向かって生きる人ほど悩むテーマだと思います。

「失敗は成長の元!」と振り切った瞬間

男のシルエット写真は日没時に海の近くの崖にジャンプします
森本恭平

どのようなときに、濱崎さんはマンデラさんの格言を思い出しますか?

濱崎聖さん

そうですね。やはり、挫折したときですね。「もう逃げ出してしまおうかな」と落ち込んでも、ふっと湧き上がってくるんです。「人生で最も偉大な栄光とは、倒れたことがないことを指すのではない。その度に何度でも立ち上がることだ」という言葉が……。

濱崎さん:「そうあるべきだ」というのではなく、心のどこかで「そう、ありたい」と強く願う自分がいるからだと思います。

森本:まさに、格言が自分の人生に息づいている。

濱崎さん:はい。自分が目指していた職業に就いた後も、同じような挫折感を味わいました。理想と現実のギャップ問題が発動するわけです(笑)勢いよく入社したのはよかったものの、求められるITスキルに対応できなかったり、上司からプレッシャーをかけたりで転んでしまったわけです……。

しかし、その間でマンデラさんの生き様を深く学ぶことにしました。そこで、自分のなかで腑に落ちたことがあったんです。

森本:一体、何があったのでしょうか?

濱崎さん:僕は今まで、「何度でも立ち上がることだ」という後半部分に焦点を当てていました。転んでどん底に落ちても、腐らずにいられたのは、「立ち上がろう」と一念発起して、自分なりに努力を続けたからだと思っています。

しかし、本音をいうと、心のどこかでは「転びたくない」という気持ちが残ったままだったんです。挫折して真っ暗になるのは、もう嫌だという気持ちがずっと胸のなかにありました。

森本:痛みを知っているがゆえに臆病な気持ちが生まれるというのは自然なことだと思うのですか……。

濱崎さん:はい。ただ、「それで本当にいいのか?」といえば、答えは「NO」なんです。それが頭では分かっているからこそ歯がゆかった。

でも、「ネルソン・マンデラ」という一人の人間が歩んだ歴史を学んだとき、この言葉の真意みたいなものに触れたような気がして、自分を改めようと思ったんです。

森本:ネルソン・マンデラさんといえば、黒人の差別政策・アパルトヘイトの撤廃を成し遂げた偉大な活動家として有名です。「人生の3分の1」といっても過言ではない27年間を獄中で生活してもなお、自らの信念を失わなかった。

濱崎さん:はい。マンデラさんは獄中を出て南アフリカ初の黒人大統領になりました。僕には想像にも及びませんが、壮絶な人生です。その生き様から語る言葉だからこそ、人々の胸を打つのだと思います。

森本:同感です。格言を「知識」として語れたとしても、「生き様」として証明できなければ「論語読みの論語知らず」になる。それは「格言の死」であり、「思想の死」です。濱崎さんが感じた「真意みたいなもの」とは一体、どのようなものだったのでしょうか?

濱崎さん:これは僕の解釈に過ぎませんが、倒れてから起き上がるまでの時間で、人間は大きく成長します。「何度も起き上がり続ける」のは、転んだときに生まれる恐怖に打ち勝った姿であり、ある種の「着地点」です。ただ、そこにだけ目がいきがちだったから、起き上がった姿ばかりを想像して「転ぶ勇気」を忘れていました……。

森本:もしかしたら、マンデラさんも獄中生活、もっといえば「命を奪われる」ことを覚悟して黒人差別と戦っていたともいえるかもしれないですね。いつ、どうなっても乗り越えてみせるという「転ぶ勇気」、もっというなら信念のためなら「転んでもかまわない」という「振り切り」があったから、最後まで自分を貫きとおすことできた……。

濱崎さん:本人の心を代弁することはできませんが、マンデラさんの言葉と向き合うなかで、そのようなことを感じたのは事実です。そのときから、「失敗は成長の元!」と振り切ってることにしたんです。自分が描いたとおりに歩けなかったとしても、思いっきり挑戦して転ぶなかで、人の痛みに寄り添う「器」が育まれるはずだと……。その最初の挑戦が、自分のカナダ留学について本を執筆することでした。

濱崎聖さんが執筆した書籍

森本:たしかに、問題をじっくり考える前に「解決」を先走れば、「要領よく」こなすだけですもんね。「転んだことをなかったように起き上がる」のでは成長できないと思います。

向上心から生まれる虚構は大志になる

写真:Mio Takishima
森本恭平

「転ぶ勇気」があるからこそ成長できる。しかし、現実は早く起き上がらないと焦りますよね。このあたりをもう少し、掘り下げてもいいでしょうか?

濱崎聖さん

もちろんです!絶妙なテーマですからね。特に、ビジネスの世界では……。

森本:ビジネスの現場でも、よく「ゴールからの逆算」という言葉が使われていますが、プロセスの成長を犠牲にしてたどり着いた結果は「虚構」だと思います。私が「グロースハック」という視点を大切にする理由もここにあります。

しかし、企業は利潤追求から逃れられない以上、「虚構」を作るしかない。むしろ、虚構を実現する力がなければ、「今以上のことはできない」と思うのですが、いかがでしょうか?

濱崎さん:そうですね。ただ、その虚構が今を否定して生まれたのか。それとも、今をより良いものに変えようという「向上心」から生まれたのか。それ次第では、歩み方に大きな違いが生まれると思います。

繰り返しになりますが、現在の失敗を否定して前進すると、次は「成功しなければいけない」という感覚に陥ります。それは、実態の伴わない「過剰な未来」を作り出しがちです。だから、結果を出してスタートラインには立てたとしても余裕がないわけです。その意味では、一見すると良さそうな企業でも、働く人たちも資産状況もボロボロなところって結構あるんですね。

森本:そのとおりですね。見栄を張った代償で足元をすくわれる。今を生きるために、未来にツケを回す発想では、いつかは行き詰まってしまう。

濱崎さん:はい。いわゆる「持続可能性とは何か?」という話にも通じることだと思います。その一方で、情熱や向上心から生まれた虚構は「大志」として主体的に共有されるビジョンになります。それを実現するプロセスには、もちろん無理や無茶があると思うんですけど、納得して取り組むから成長できるはずなんです。そして、今以上のことを実現したときは「すでに、その舞台にいること」を実感できるのではないでしょうか。

森本:人間を忘れた成長の青写真では、だれも笑っていない。いつ、どこで何が起こるのか分からない時代だからこそ、一人ひとりが等身大の生き様、本音と向き合う機会が多くなっていると思います。

勝手な解釈で恐縮ですが、ネルソン・マンデラさんが悪名高い「アパルトヘイト」の撤廃という偉業を成し遂げられたのも、転んで起き上がり続けるなかで、「大志」と一致した「成長」があったからこそなのでしょうね。

アパルトヘイトとは?

南アフリカ共和国で1991年6月まで続いていた白人と有色人種とを差別する人種隔離政策のことをいう。

濱崎さん:きっと、そうだと思います。僕自身も、まだまだ挫折すると思います(笑)その度に、ふて寝して、悩んで、焦ると思うんですが、転ぶ瞬間の恐怖に打ち勝てる自分になりたいと思います。突き抜けて成長し続けたいですね。

森本:本日は格言のルネサンスにお付き合いくださりまして、ありがとうございました!

ネルソン・マンデラさんの名言5選

File:Nelson Mandela、2000(5).jpg

最後に、読者のみなさんにネルソン・マンデラさんの格言をご紹介したいと思います。

I learned that courage was not the absence of fear, but the triumph over it. The brave man is not he who does not feel afraid, but he who conquers that fear.(勇気とは恐怖の欠如ではなく、恐怖に対する勝利のことだ、と私は学びました。勇敢な人は恐れを感じないのではなく、それを克服する人なのです。)

Education is the most powerful weapon which you can use to change the world.(教育は、世界を変えるために使用できる最も強力な武器です。)

Resentment is like drinking poison and then hoping it will kill your enemies.(恨みの念とは、自分が毒を飲んでいるにもかかわらず、それで敵を殺せると期待している。)

Man’s goodness is a flame that can be hidden but never extinguished.(人間の良さは隠すことのできる炎であるが、決して消え去ることはない。)

Part of being optimistic is keeping one’s head pointed toward the sun, one’s feet moving forward.(楽観的であるということは、顔を常に太陽へ向け、足を常に前へ踏み出すことである。)

心に響く言葉の語り手は真摯な生き様とともにある。

格言のルネサンスは人類の言葉が新しい価値、未来を創造する明日を目指します。

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PENDELION編集部
PENDELION編集部はライター・構成担当・編集担当・グロースハッカーから成り立っています。専属のライターさんが執筆した記事に関しては、希望がある場合にのみプロフィールを掲載します。