グロースハック

ノース・スター・メトリックとは?全集中のグロースハック!

国内ではあまり知られていませんが、グロースハックの成長戦略を構築するうえで欠かせない指標があります。

それはノース・スター・メトリックです。この指標を設定することが「グロースハックとして何を目指すのか?」という戦略の基本を決定します

この記事では、ノース・スター・メトリックについて解説します。グロースハックを始める方は必見です!なお、グロースハックについて知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

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ノース・スター・メトリックとは?

ノース・スター・メトリックのイメージ

ノース・スター・メトリック(North Star Metric)とは、コンテンツの成長戦略で共有される「単一の指標」であり、「ここを拡大すれば事業が成長する」といったグロースハックのクリティカル・ポイントです。

参考までに、グロースハックの父・ショーン・エリスさんがノース・スター・メトリックについて書いた記事の一部を引用します。

The North Star Metric is the single metric that best captures the core value that your product delivers to customers. Optimizing your efforts to grow this metric is key to driving sustainable growth across your full customer base.

ノース・スター・メトリックは、製品が顧客に提供するコアバリューを最もよく捉えた単一の指標です。この指標に貢献する労力を最適化することが、顧客全体を継続的に成長させるキーになります。

What is a North Star Metric?(最終確認日:2020/2/28)から引用

ノース・スター・メトリックは日本語では「北極星指標」と訳されています。北極星は「真北」の方角でキラキラ輝く星です。北極星が見えるところならどこにいても、自分の位置を確認できます。

つまり、ノース・スター・メトリックには、だれがどのような業務を行っていたとしても、全員の仕事がここに繋がるといったイメージが込められているのです。

なぜ、ノース・スター・メトリックが大切なのか?

ノース・スター・メトリックの重要性は、以下の2点を可視化することにあると考えられます。

  1.  成長を決定づけるクリティカル・ポイント
  2.  組織全体で集中すべき単一の指標

成長を決定づけるクリティカル・ポイント

ノース・スター・メトリックは、サービスの成長を左右する根本的な要因を「見える化」するのに最適な指標です。

もちろん、事業が達成すべき目標はひとつとは限りませんが、成否を決定づけるクリティカル・ポイントがあるはずです。

例えば、Facebookのノース・スター・メトリックは「一日あたりのアクティブユーザー数」です。

ユーザーがFacebookを利用するほど、プラットフォームの運用に関するトライ・アンド・エラーが充実します。

その結果、ユーザービリティを向上すれば、新しいユーザーが参入する正の成長リズムをつくることができるので、売上も増えていくわけです。

サービスの成長に直結するコアな指標に向かって各要素の優先順位を決定しなければ、費用対効果に基づく経営資源の最適化を図ることはできません

したがって、ノース・スター・メトリックで成長のクリティカル・ポイントを明らかにしていくことがグロースハックのキーといえるでしょう。

組織全体で集中すべき単一の指標

企業では事業に応じて目標を設定します。近年では、KPI・KGI・KSFなどを導入する企業も増えています

KPI・KGI・KSFとは?
  1. KPI:重要業績評価指標
  2. KGI:重要目標達成指標
  3. KSF:重要成功要因

雑駁な説明になりますが、KGIという最終的なゴールを達成するために「何を(KSF)、どれくらい(KPI)すればよいのか」が上記の指標が示す関係です。

KGI・KPI・KSFの関係

企業でいえば、KGIは売上として設定されることが通例です。その手段として、「何を(KSF)、どれくらい(KPI)すべきなのか」という実践的なプロセスが策定されていきます。

そして、KSF・KPIが部署ごとに分担されるなかで「タスク化」し、社員に落ちるまでにはバラバラに拡散します。

繰り返しになりますが、売上という指標(KGI)は共通のプロセスではなくゴールです。

そのため、各仕事が全体の「何に繋がっていくのか」というゴールとプロセスのつなぎ目となる指標がないと、一人ひとりが全体観に立って業務を行うことはできません

ゴールとプロセスのつなぎ目となる指標NSM

グロースハックでは、複数の専門性を統合させる全体観が求められます。単一の部署で成長戦略を進めることは困難です。これに関しては、ショーン・エリスさんは次のように述べています。

Most teams within an organization play some role in delivering value to customers. Sales and marketing attract new customers into the funnel, but the product and customer support teams play a key role in ensuring prospects and customer are able to experience the core value of a product.

Coordinating these siloed teams to work together on growth initiatives can be very challenging without a metric that focuses them around a common goal.

組織内の各部署は、顧客にサービスの価値を提供するために、何らかの役割を果たします。営業とマーケティングは新規顧客の開拓を目標としていますが、製品とカスタマサポートのチームは顧客が商品から得るコア・バリューに関わっています。

それぞれのチームを連携させて成長を主導するためには、共通の目標として設定されたメトリックが必要不可欠なのです。

What is a North Star Metric?(最終確認日:2020/2/28)から引用

以上のことからも、ノース・スター・メトリックは、全員が一つの目標に集中するための指標として、各セクションが担う業務が達成すべき共通の課題を示す重要な役割を担っているといえます。

ノース・スター・メトリックの設定に必要な視点

とはいえ、具体的に何をどうすればよいのでしょうか?

グロースハックのコンサルティング業務を展開するmixpanelという企業では、ノース・スター・メトリックが達成すべきポイントを3つにまとめています。

To qualify as a “North Star,” a metric must do three things: lead to revenue, reflect customer value, and measure progress.

顧客が得る価値の反映

収益性

進捗の管理 (=定量化)

What is a North Star metric? (最終確認日:2020/2/28)から引用

ノース・スター・メトリックを設定するには、これらの3要素を満たしている必要があります。

ノース・スター・メトリクスの要件

要件1 コンテンツの価値を反映しているか?

第一に、ノース・スター・メトリックを設定するには、顧客がコンテンツを利用して得られる価値を明確にしなければなりません

例えば、ファッション雑誌を読むことで得られるプラスの体験とは何でしょうか?

  • 最近のトレンドを知れる
  • 趣味・嗜好に合った洋服が見つかる
  • デートに洋服選びに迷わない
  • モテるかもしれない など

読者がこれらの価値を体験する条件として何を伸ばすことが持続可能な成長を生み出すのか。これがノース・スター・メトリックの出発点です。

ただし、これらの条件はいくつかあります。まずは思いつく限りの要素を挙げてみましょう。

  • 取り扱い店舗数
  • 定期購読者数
  • 予約販売数など

そして、ピックアップした要素から、クリティカル・ポイントを見つける必要があります。

クリティカル・ポイント

クリティカル・ポイントとは、そこが伸びれば全体が伸びるという最も影響力のある急所です。

要件2 収益に直結しているか?

例えば、「Facebookの投稿で”いいね”を増やす」ことはノース・スター・メトリックとして適切でしょうか?

”いいね”が多いほど、たくさんの人がコンテンツに反応しているといった事実は明らかになっても、その数に比例して「ファッション雑誌が売れる」とまでは言い切れません

すなわち、収益性の要件を欠いているため、不適切な指標として評価すべきなのです。

収益性を欠いたグロースはビジネスとして成立しないので、上記の要件をピックアップする際に意識しておきましょう!

要件3 単一の指標として定量化されているか?

最後に、単一の指標として定量化する必要があります。なぜ、定量化するのかといえば、進捗管理の観点から具体的な数値を設定することで現状が明きらかにできるからです。

複数の要素が絡んでくる場合もありますが、可能な限り「一つのまとまり」として要約しましょう。

例えば、Airbnbのノース・スター・メトリックは「宿泊予約数」です。

Airbnbの価値は宿泊することで初めて体験できます。なおかつ、「ユーザーが宿泊する=売上」になるので、ノース・スター・メトリックの要件を満たしているわけです。

ちなみに、PENDELIONが運営するメディアのノース・スター・メトリックは、「一日あたりのアクティブユーザー数」です。PV数、CVRなどの各指標は「一日あたりのアクティブユーザー数」を増加させることで改善されていきます。

全集中でグロースハック!

ノース・スター・メトリックは、組織全体で共有される究極の指標です。拡散した目標は団結を阻害する要因としてチームを硬直化させるおそれがあります

「限られた経営資源を何に投下すれば結果が出るのか?」を適切に評価して、全集中のグロースハックを始めましょう!

ABOUT ME
森本恭平(もりもと・きょうへい)
1990年生まれ。公共法政策修士(東北大学)を取得。東日本国際大学・福島復興創世研究所の准教授を経て、現在は「オンラインとオフラインの調和」をテーマにグロースハッカーとして複数の企業と契約して新規事業の成長戦略に従事する。専門分野はレジリエンスの社会政策。福島県総合計画審議委員会審議員を歴任。PENDELION代表。LIFORKコミュニティマネージャー。