スマホの普及に伴って、LINE(ライン)がメールサービスの代わりに使われるようになりました。おそらく、ビジネスシーンを除いて、LINE以外の方法で連絡を取り合う機会はかなり少なくなっているのではないでしょうか。
実際のところ、国内のLINEユーザーは8000万人を超えていると言われており、LINEは生活に不可欠なツールとして定着していると言っても過言ではないでしょう。
とはいえ、LINEは単純なチャットアプリというわけではありません。複数のユーザーとつながって近況をシェアできる機能もあるため、「SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)と似ている」と感じている方たちもいるはずです。改めて、LINEはSNSと言えるのでしょうか?
この記事では、「SNSとLINEに違いはあるのか?」という疑問について解説しています。LINEの性質についてくわしく知りたい方は参考にしてみてください。
- SNSとLINE(ライン)の違いについて考えるきっかけになる。
- 他のSNSと比較しながらLINEの性質を簡単に学べる。
SNSとLINE(ライン)に違いはあるのか?
さて、SNSとLINE(ライン)に違いはあるのでしょうか?
結論から言えば、Twitter、Facebook、インスタと同様に、LINEもまたSNSであるため、両者に明確な違いはありません。すなわち、LINEはSNSの一種であると言ってよいでしょう。
改めて、SNSの意味を確認してみましょう。学術的には、SNSの明確な定義は存在しないと言われていますが、伊藤嘉浩氏と高橋優音氏が執筆した『日本企業におけるSNSを用いたマーケティング戦略:有効な活用とマネジメント』には、次のように書かれています。
ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SocialNetworkingService)の定義は、最も広義には「社会的ネットワークをネット上で構築するサービス全般 」であるが、正確な定義は存在しない。
伊藤嘉浩・高橋優音(2014)『日本企業におけるSNSを用いたマーケティング戦略:有効な活用とマネジメント』から引用(最終確認日:2022年1月14日)
上記を踏まえると、インターネット上で人間関係を構築するサービスであるならば、SNSと見なすことができるでしょう。
LINEはチャット機能がメインとして使われていますが、画像、文書、動画などを投稿すると、不特定多数の人たちに情報が共有されます。また、友人からの紹介などで知らない人とグループでコミュニケーションを取ることもあるため、新しい人間関係が生まれることも少なくありません。
FacebookやTwitterのように知らない人のプロフィール情報を検索して閲覧できるわけではないので、イメージしづらいかもしれませんが、LINEも立派なSNSなのです。
どうしてLINEがSNSではないと思われているのか?
そもそも、どうしてLINEがSNSではないと思われているのでしょうか?
その理由としては、LINEがメールサービスの代わりとして使用されるチャットアプリとして認知されていることが挙げられるでしょう。実際、LINEは新しい人間関係を作るために利用するというよりも、友達や家族など既存の知り合いと連絡を取る手段として使われています。
通常、私たちがSNSとして理解しているものは、FacebookやTwitterなどの「不特定多数の個人と交流できる」という性質を持ったサービスなのではないでしょうか。古くはモバゲーやmixiなど、ガラパゴス携帯の時代から日本社会ではSNSが流行していました。mixiやモバゲーを通じて知り合った人たちと結婚したという話もあったくらいです。
一方、LINEは原則としてユーザーの電話番号やIDなどの情報を知らない限り、コンタクトを取ることができません。すなわち、主要なSNSのイメージとはかけ離れており、どちらかと言えば、プライベートなコミュニケーションツールと言ってよいのかもしれません。
以上のような背景から、LINEはSNSとは異なるサービスであるといった印象が生まれやすくなったと考えられます。
LINEと他のSNSの違い
さて、LINEと他のSNSの違いを明らかにするために、Facebook、Twitterの機能と比較してみましょう。以下の表は匿名性やグループチャットなど9種類の機能から、それぞれのSNSを比べたものです。
機能 | LINE | ||
匿名性 | 弱い | 弱い | 強い |
メッセージ | できる | アプリ必要 | できる |
グループチャット | できる | できる | できる |
グループページ | つくれる | つくれる | つくれない |
スタンプ | ある | ある | ある |
通話 | できる | できる | できない |
知らない人の ページにアクセス | できない | できる | できる |
イベント機能 | アプリ必要 | あり | なし |
ライブ配信 | できない | できる | できる |
これらの機能群から考えると、LINEは知っている人とのコミュニケーションを維持するための連絡ツールと言ってよいでしょう。友達リストは電話帳の役割を担っており、タップするだけで簡単にチャットを送ることができます。さらに近年では、誕生日などのお祝いにギフトをあげたり、買い物するときに支払いの決済ができたりする便利な機能が実装されています。
また、LINEアカウントは電話番号と紐づいており、IDを教えることでユーザー同士のやり取りができるようになります。「LINE教えて」は昔でいう「メアド教えて」と同様のニュアンスを持っており、「LINEで繋がる」ということは、私生活でもコミュニケーションを取る間柄になるといった印象があると言えるかもしれません。今や、LINEはガラパゴス携帯の時代に主流だったメールや電話機能をほぼ完全に代替しているわけです。
一方、Facebookは実名で利用しているユーザーが多く、プライベートで連絡を取り合うための手段というよりも、ビジネスやボランティアなどの社会的な活動に関わるコミュニケーション・ツールとして使われています。例えば、異業種交流会やセミナーなどで知り合った人に対してLINEを聞くのは憚られるけれども、今後も引き続き連絡を取り合いたい場合には、Facebookで友達になるといった選択が取られることが多くなっています。
Twitterは自由な言論空間としてリアルタイムの考えや感情を介して他者とつながるSNSであると言ってよいでしょう。匿名で利用するユーザーもたくさんいるので、ネット掲示板のような性質を帯びています。とりわけ、リツイートという他人の投稿を共有する機能によって情報が短時間で拡散するのはTwitterならではの特徴です。
LINEは立派なSNS
以上、「LINEとSNSに違いがあるのか?」について考察しました。他のSNSとは違って、LINEはメール機能を代替したことで日常生活の連絡ツールとして使われています。
そのため、SNSとしての性質が分かりづらくなっていますが、グループ活動や新しい人間関係を生み出すことができる以上、LINEも立派なSNSであると言えるでしょう。