買い手であれ、売り手であれ、取引のリスクが大きくなるほど、慎重になるものです。
もし、代金を支払っても商品をもらえなかったら?
もし、商品を受け渡しても代金をもらえなかったら?
お互いに信頼する間柄ならともかく、面識のない人や関係性の薄い企業と取引を行う際には、一抹の不安が残ります。万が一、取引相手が不誠実な悪徳業者だった場合、法的な手段で問題を解決することもできますが、そのコストは膨大です。
そこで、よく耳にするのが「エスクローサービス」です。
一体、どういうものなのでしょうか?
この記事では、エスクローサービスについて述べたうえで、サイト売買で仲介業者を利用したほうがよい理由について説明します。
エスクローサービスとは?
エスクローサービスとは、買い手と売り手の間に仲介業者が入って、代金と商品の受け渡しに関わる取引の安全性を保障するものをいいます。
不動産、会社や事業のM&Aなど多額の資金を移動する売買取引だけではなく、オークションやオンライン・ショッピングなど不特定多数の面識を持たない個人間の取引が発生する領域でも利用されています。
なお、エスクロー(escrow)とはフランス語に由来しており、「文書・巻物」といった原義を持っています。ビジネスの世界では「第三者預託」といった意味で使われています。
エスクローサービスの仕組み
エスクローサービスの仕組みはシンプルです。次の画像をご覧ください。

エスクローサービスは大きく4つのステップから構成されています。
- 買い手と売り手が商品などの売買契約を結ぶ
- 買い手が購入代金を仲介業者に預ける
- 売り手が入金を確認した後、商品などを買い手に渡す
- 買い手が商品が受け取り次第、仲介業者が売り手に購入代金を渡す
このプロセスを経ることで、買い手は代金を渡して商品がもらえない、売り手が商品を渡して代金がもらえないというリスクが防止することができます。
なお、仲介業者は手数料のほか、買い手から預けられた代金を運用するなどして利益を得ています。
エスクロー業には資金移動業者の登録が必須!
エスクローサービスを事業として行うためには、資金決済法で定められる「資金移動業者」の登録が必要になります。もし、法律に準じた事業を行わない場合には、ペナルティもあるので十分に注意しましょう!
ひと昔前では、エスクローサービスは為替取引や信託業と同様の法的な扱いを受けていたので、銀行をはじめとする金融機関以外は手が出せない業種でした。
ところが、資金決済法の改正で「資金移動業者」の登録を行えば、一般の事業者もエスクローサービスに参入できるようになりました。
これによって、仲介業者が売買プラットフォームにエスクローサービスを付帯することが可能になったので、ユーザーの安全性が高まったといえます。
ただし、取引金額の上限は100万円という成約があるので注意しましょう!
詳しくは、法律の専門家にご相談ください!
トップコート国際法律事務所『3分でわかる!ECサイトでエスクローを導入する際の法的問題とは? 』(最終確認日:2020/2/13)
みずほ中央法律事務所『エスクローの仕組みと出資法・資金決済法・信託業法との抵触』 (最終確認日:2020/2/13)
サイト売買とエスクロー
サイト売買を行う際でも、エスクローサービスは重要です。とりわけ、インターネットの商取引は顔の見えない関係が多く、詐欺行為などのトラブルが頻発しています。
近年では、仲介業者のプラットフォームが充実してきたこともあり、無人の掲示板などを介してサイト売買が行われるケースは少なくなっていると予想されますが、0とはいえません。
なかには、なりすましなどの虚偽の情報に基づいて、売り案件をさばいているところもあるので気をつけましょう!
なお、サイト売買の仲介業者は、エスクローサービスを無料で提供しているところが多いです。
運営する側からいえば、エスクローサービスを外部に委託するよりも自社で抱えたほうが売買プラットフォームの信頼性が高まるため、利用者の増加につながります。
仲介業者を使ったほうがよい理由
もし、エスクローサービスをはじめ仲介業者を利用せずにサイト売買を行った場合、次のようなリスクが想定されます。
- 売り手からサイトが移管されない
- 買い手から代金が振り込まれない
- 売り手が提示した情報が虚偽だった
- より好条件な買い手と売り手を逃す可能性があるなど
このほかにも、サイト売買を行う際には注意すべき点がたくさんあります。
詳しくは、こちらの記事をご覧ください。

こうしたリスクを回避するためには、サイト売買の仲介業者を利用するのが近道です。
日本国内では30社以上の仲介業者があります。
売買に関するトラブルが発生した際には、弁護士などの専門家に相談して、法的な手段で解決を図ることが大切ですが、時間や金銭的コストの負担を考慮すれば、事前防止が一番よいです。
サイト売買を検討されている方は、自分に適した仲介業者を探してみましょう!