「あれ、フォローが外れている……。もしかして、嫌われたのかな?」
気にしすぎる必要はないとはいえ、相手の反応が気になるが人間の性でしょう。TwitterやFacebookなどのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)は人間関係を土台にして成立する以上、他者への接し方について悩むことは避けられません。
この記事では「嫌われるツイート」を題材にリムられるについて考察していきたいと思います。TwitterなどSNSを利用している方のお役に立てれば幸いです。
- 嫌われることについて本質的に考えることができる
- リムられる理由について検討できる
- 何のためにSNSをやっているのかを考える機会をつくれる
こんなツイートは嫌われる?
嫌われるツイートの例として、Navarまとめでは次のように整理されています。
【1】構ってちゃん
【2】政治や宗教の思想を押しつける
【3】実況がやたら多い
【4】非公式RTや空リプで会話している
【5】フォロワーの数にしか関心がない
【6】ツイッター歴が長い割にやけに沈黙している
【勘弁して!】Twitterで嫌われる6つのタイプ – NAVER まとめから引用(最終確認日:2020/5/13)
しかしながら、人の好き嫌いは個人の価値観や状態で変化するので、法則化できるようなものではないと思います。
10人いれば10通りの反応があるはずです。もちろん。何でもかんでも「人それぞれ」と決めつけるのは共通の価値観を見失う偏見として注意すべきですが、型にはめて考えると実際の姿が歪んでしまうおそれがあります。
おそらく、上記の引用に該当するユーザーを嫌う人は一定数いるのは事実だと思います。
けれども、自分の不幸自慢などを投稿して他人に注目されたい「かまってちゃん」でも、素晴らしいダンスの才能があって息を飲むくらいの美男美女だったらどうでしょう?
あるいは、政治や宗教の思想を押しつけるツイートでも、その人が多くの命を救う名医として世界に大きな貢献を果たしていたら、嫌われるのでしょうか?
そして、ツイッター歴の長い人が沈黙するだけで嫌われるなんてことが現実にはありえるのでしょうか……。
人々の性質を何らかの基準で分類する考え方には、個人の背景を無視しやすいといった欠点があります。シンプルで分かりやすい一方で、複雑で多様な人間の姿を見失ってしまう危険性があるのです。
もちろん、「人ぞれぞれ」だから気にしても仕方がないというわけではありません。ただ、「こんなツイートは嫌われる論」から相手の気持ちを勝手に決めつけてしまうことには注意が必要です。
人間を嫌うのは、カテゴリー化された知識ではなく、あくまでも現実に生きている人間なのです。
対人嫌悪の研究からリムられる理由を考える
とはいえ、「人それぞれ」だから嫌われるツイートをまったく意味がないとはいえません。
完璧な答えとして受容するのではなく、自分が主体的に「問い」をもって判断するときの材料として活用するならば、参考になると思います。
そのとき、何となく整理された情報を使うより、その道のプロとして生きる人の知見を借りたほうが考察を深めるのに役立つでしょう。
例えば、東京理科大学の金山富貴子さんが執筆した『組織や集団内における対人嫌悪』のなかでは、人に嫌われる原因について次のようにまとめられています。
金山富貴子(2016)『組織や集団内における対人嫌悪』から引用(最終確認日:2020/5/13)
金山さんの研究をツイートに当てはめて考えてみると、以下のようになろうかと思います。
- 人が傷つくような悪口や嫌味のツイート
- 相手に失礼なツイート
- 知ったかぶりや優秀さをひけらかすツイート
- 自分より立場にこびるようなツイート
- 他者を拒絶するようなツイート
- 言動や考えが幼稚なツイート
- 相手とは価値観が異なるツイート
- 相手を嫌っていることが伺えるツイート
- 見た目上の趣味が合わないアカウントのツイート
- 自己中心的なずうずうしいツイート
もしかしたら、人からリムられるのは、上記のようなツイートを投稿していることが原因かもしれません。ただあくまでも、その可能性があるといった程度の話だと思います。
いずれにしても、自分の不快感を言語化する際に、研究者が提示するフレームワークは便利だと思います。
ここで紹介している「嫌われるツイート」はあくまでも参考程度に考えていただければ幸いです。
嫌われる勇気よりも他者に何を与えられるのか
7年ほど前に、アドラー研究の第一人者として活躍される岸見一郎さんとライターの古賀史健さんが出版した『嫌われる勇気』がベストセラーになりました。
「自由とは他者から嫌われることである」といったフレーズは、人間関係のシガラミに悩んでいる日本人の心に強く響いたのではないでしょうか。
一般的に、SNSに投稿する内容は他者に見られることを前提としています。だからこそ、「他人の目」が気になるわけです。
自分が投稿したものに全く反応がなければ「無視されているのではないか?」といった気持ちになるのは自然なことなのかもしれません。
しかし、「自分がどう見られるのか?」という視点は、どこまでいっても自分中心です。ツイートが情報発信である以上、受け取る側の利益を意識することが重要なのではないでしょうか。
したがって、人に好かれるツイートを目指すなら、「他のユーザーに対してどのような価値を提供できるのか?」といったポイントを明確にする必要があります。
「この人のツイートは役に立つ!」や「このツイートは面白い!」とみんなが喜ぶものを発信すれば、ユーザーはついてくるはずです。
140文字という限られた文量ではありますが、嫌われる勇気よりも「他者に何を与えることができるのか?」に集中してツイートしたほうが良いのではないでしょうか。
みんなが「いいね」は難しい!
発信側がいくら注意したとしても、相手を不快させてしまうことはあります。
これがSNSの難しいところです。特に、「1+1=2」というような答えのないトピックでは、「AといえばB、CといえばD」といった風に、自分とは違う意見を持っている人が必ずいます。
そのため、みんなから「いいね」をもらえるような万人受けするツイートはないのかもしれません。だからこそ、背伸びせずに自分らしいツイートを続けていくことが、Twitterライフを楽しむコツなのではないでしょうか。