ライティング

ブックライターとは?人々に知恵を贈るステキなお仕事

みなさんは、「ブックライター」という職業を聞いたことがありますか?

「ライター」と一言でいっても、さまざまな業態があります。

WEBライター、コピーライター、シナリオライターなど、文章を書く仕事という意味では同じライターですが、求められるスキルに違いがあります

文字が生活の根幹に関わる以上、ライティングの世界は奥深いです。

ブックライターもまた洗練された技術を求められる仕事の一つです。

この記事では、本を読むことが好きな人であれば、知らず知らずのうちに関わっているブックライターの仕事と社会的意義について解説していきます。

ブックライターはどんな仕事?

ブックライターとは、著者との対話を通じて思考、感情、経験を理解したうえで、本を代わりに執筆する職業のことをいいます。

一般的に、「ゴーストライター」と呼ばれていますが、ネガティブな心象を与える「ゴースト」という表現では「職業としての魅力」が伝わりづらいという問題がありました。

そこで、ブックライターという言い方が少しずつ普及し始めています。

特に、上坂徹さんの『職業、ブックライター。毎月1冊10万字書く私の方法』は、「ブックライター」を冠した本としてライティング業界で注目されました。

上坂徹さんのプロフィール

1966年兵庫県生まれ。1989年早稲田大学商学部卒業後、リクルート・グループなどを経て1995年からフリーランスのライターとして独立し、雑誌や書籍などで執筆。経営、経済、金融、ベンチャー、就職などの最前線のビジネス現場から、トップランナーたちの仕事論をわかりやすく伝えるインタビュー、執筆を得意とする。取材相手は3000人を超える。インタビュー集にベストセラーになった『プロ論。』(2004年12月、徳間書店刊)ほか。自著に『書いて生きていくプロ文章論』(2010年12月、ミシマ社刊)『リブセンス<生きる意味> 25歳の最年少上場社長 村上太一の人を幸せにする仕事』(2012年9月、日経BP社刊)『成功者3000人の言葉 人生をひらく99の基本』(2013年6月、飛鳥新社刊)ほかがある。

講談社BOOKクラブホームページ http://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000188448 (最終確認日:2020/2/7)から引用

気になる年収は?

ブックライターの収入は以下の3パターンから構成されています。

  1.  原稿料
  2.  印税
  3.  原稿料+印税

まずは「原稿料」と「印税」について簡単に説明します。

原稿料とは?

原稿料とは、出版社が文章を買い取るときに支払う報酬のことです。

金額は出版業界の規模・本の分量・企画案で想定される作業時間によって異なりますが、約50万円~150万円までといった幅があります。

ライターの冴木結宇さんがnoteに投稿した『ゴーストライターというおしごと』では、ビジネス書の原稿料について次のように書かれています。

出版社にもよりますが、ビジネス書というジャンルでは、だいたい一冊あたり40万〜50万円の原稿料と、増刷分につき1〜2%の印税が支払われるケースがほとんどです。これ以下の報酬では、請け負わない方がいいでしょう。

冴木結宇さん 『ゴーストライターというおしごと』https://note.com/yu_saeki/n/n1c155792523c (最終確認日:2020/2/8)

印税とは?

印税は、本の価格(税込)×部数×印税率で計算されます。

具体例を挙げて考えてみましょう。

※消費税が変更される可能性を考慮して本の価格に含んだものとして計算しています。

本の価格1000円
部数3000部
印税率10%
印税300,000円

本の価格が1000円で初版が3000部とした場合、最大の売り上げは300万円となります。この値の10%となる「30万円」が印税収入です。

この金額を著者とブックライターで分けることになります。

その配分は、「著者:ブックライター」で「50:50」になったり、「70~80:30~20」になったりと取り決め次第で変わります。

そのため、増刷を繰り返すベストセラー本を作成しない限り、印税で高額な収入を得ることはできません。

例えば、部数が100万部になったとしたら、印税は10億円となるので、分配に関わる比率が少なかったとしても大きなお金を受け取ることができます。

収入はピンからキリまで

以上のことからも、ブックライターの収入はピンからキリまでだといえるでしょう。

出版社から原稿依頼がない限り、フリーランスのブックライターには仕事がありません。ただ、人材不足といわれているので、ブックライターの需要はあります

簡単ではありませんが、売れっ子ブックライターとしてベストセラー本を作り続ければ、年収は1000万円以上を稼ぐ人もいると考えられます。

ブックライターはココにいる!

ブックライターは著者の黒子として作品を仕上げる陰の存在なのでしょうか?

必ずしもそうではありません。著者のなかには、ブックライターに敬意を払って、名前を本に掲載する方も少なくありません。

あとがきにブックライターの名前を書く方もいますし、本の最後に「編集協力者」として記載されることもあります。

みなさんも本を買ったら、ブックライターを探してみましょう!

ブックライターになるには?

ブックライターになるには、日本語のライティング能力を磨くだけではなく、インタビューの質を高めていくことが大切です。

ただし、著者の思想、知識、経験、人生観を受容しつつも、訴求力のある言葉に落とし込む技術は、一朝一夕で習得できるものではありません。

ブックライターの塾などに通って姿勢や技法を勉強されている方もたくさんいます。

また、出版社が信頼できる実績を積み上げていく必要があります

ブックライターは公募される場合もありますが、出版社との信頼関係の延長線上に仕事が生まれるといった特殊な性質をもっています。

実践家は本を書く暇がない

すべてではないにせよ、実践家が著者となる本には、ブックライターが関わっていることが多いです。出版業界に疎遠な人であれば、「本人が書いたわけじゃないんだ……」と驚きますよね。

実践家で執筆作業に取り組む時間のある人はほとんどいません。世間が注目する人なら、なおさらでしょう。

また、いくら実践してきたとはいえ、 文章を書く技術がなければ、「伝えたいこと」を言語化できずに、大きな誤解を与えてしまう可能性があります。

一度、世に送り出された文章はひとり歩きして、いつか自分の首を絞めるかもしれない。人は未来に向かって変わっていくにもかかわらず、過去に書かれた文章は変われない、といったジレンマは悩ましい問題です。

このような理由で、実践家の本が出版されずにいると、世の中で起きる変化を知ることができなくなります。

それに「すごいな!」「気になるな」といった人々を知れる出版物がないのは、少しさみしいことですよね。

そこでブックライターの登場です。

実践家が歩んできた人生とブックライターの感性と技術がシナジーを起こして、一冊の本ができあがることで、私たちは価値のある本を読む機会を得られるのです。

本は一人では終われない

とはいえ、「結局、他人が書いているんでしょ?」と納得のいかない方もいるかもしれません。

本には「著者」という個人名が記載されているので、読者からすれば「本人が書いたもの」と思うのは当たり前のことです。

著者ではない別人が本を執筆しているとなれば、書かれた内容が「ウソではないか?」「盛られているのではないか?」「本人の意思とは違うのでないか?」という不安や疑念が生まれる気持ちはよくわかります。

しかし、言葉の本質を改めて考えてみると、それは小さな誤解かもしれません。

私たちは言葉を独力で習得するわけではありません

赤ちゃんのときはお母さん、お父さん、そして身近な人から語りかけられることによって言葉を覚えていきます。

それと同様に、大人になってからでも人々との関わり、社会との関わりのなかで、自分の言葉を日々、アップデートしています。また面白いことに、私たちは、本を通じて過去に生きた人々からも学ぶことができるのです。

その意味では、いかなる言葉も他者と無縁ではありません

良し悪しは別として、この記事のスタイルや内容も多くの人たちから学んだ成果物です。

もちろん、他のメディアが掲載している記事をコピーすることはいけません

ただ、どのような記事であっても独力で作成することは不可能です。

他のサイトでは、どのような情報を発信しているのだろう、専門家はどのような議論をしているのだろうなど、記事を書くには「学習する」プロセスが発生します。

すなわち、他の人たちの作品にお世話になりながら、はじめて自分の記事が書けるようになるわけです。

文章を書く行為は、だれかの点と自分の点を結ぶ共同作業ともいえます。

そして、本もまた完成するまでには、多くの人たちが関わっています。

著者をはじめ、著者の関係者、企画の担当者、ブックライター、カメラマン、デザイナー、広報の担当者、書店のスタッフさんなどの力が結集されてはじめて、私たちの手元に本が届くようになります。

著者は一人でも、本になれば一人では終われない

出版される前に、関係者が原稿を何度も読み直して加筆・修正を繰り返しながら、ようやく本が完成します。

したがって、著者だけで完結する本は存在しません。

また、このような労力をかけていくからこそ、多くの人たちに響く広がりのある作品が生まれるのではないでしょうか?

AI時代にブックライターは輝く!?

ここ数年の間、人工知能(技術)によって人々の仕事が奪われるのではないか、といった議論が盛んに行われました。

文章作成のAI技術も着実に進化を続けています。

国内の有名な事例でいえば、 公立はこだて未来大学の松原仁さんが全体統括を担当するプロジェクト「きまぐれ人工知能プロジェクト作家ですのよ」が挙げられます。

星新一のショートショート全編を分析し、エッセイなどに書かれたアイデア発想法を参考にして、人工知能におもしろいショートショートを創作させることを目指すプロジェクトです。公立はこだて未来大学の松原仁教授を中心にしたプロジェクトチームで、2012年9月にスタート。鋭意活動中です。

「きまぐれ人工知能プロジェクト作家ですのよ」 公式ホームページhttps://www.fun.ac.jp/~kimagure_ai/index.html (最終確認日:2020/2/8)

文章を書くという点だけに絞れば、人工知能(技術)でも可能です。

読み手がいる限り、人工知能の作品にも価値が生まれます。

それでは、ブックライターの仕事も取って代わられてしまうのでしょうか?

答えは「NO」です。厳密にいえば、現時点では「NO」と考えています。

本を書く仕事は文章を作成することだけに留まりません。

ブックライターは著者へのインタビューを通じて、まだ言葉では表現されていない感性や価値観を文章に起こしていきます

それは、あらかじめ「答え」のある問題を数的に解くような性格ではなく、これまでにはなかった新しい問いを発見して、答えを創造する営みです。

既存の言葉や文章を論理的にパッチワークすればいいわけではないのです。

したがって、ブックライターの存在は、2020年時点の人工知能(技術)では簡単に代替できるものではない、もっといえば人間らしい資質として注目されるかもしれません!

人々に知恵を贈るかけがえのない仕事

以上、ブックライターの仕事について紹介しました。

私たちが日ごろ、本を読むことができるのは、著者や出版社の方だけではなく、ブックライターがいるからといっても過言ではありません。

ブックライターは人々に知恵を贈るかけがえのない仕事なのです!

ご興味のある方は一度、ブックライターのことを調べてみてはいかがでしょうか?

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PENDELION編集部
PENDELION編集部はライター・構成担当・編集担当・グロースハッカーから成り立っています。専属のライターさんが執筆した記事に関しては、希望がある場合にのみプロフィールを掲載します。